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コンサルティング業界特集

コンサルティング業界特集

コンサルティング業界とは
コンサルティングという仕事は、簡単にまとめると、専門家たちによって依頼会社に解決策を提示するサービスです。その分野と業務内容は多種多様ですが、主な業務内容としては、企画立案や組織再編、企業買収、技術活用に関する推奨や助言、そのほか様々な専門知識の提供が挙げられます。

コンサルティング会社は世界で70万社以上あるとみられます。統計情報サービス大手スタティスタ(Statista)によると、同業界の世界市場(売り上げ)規模は、2018年に約2720億ドルと見積もられ、2019年には2850億ドル、2020年には2960億ドルに成長すると予想されます。また同業界上位10社の売上総額は、2010年から2015年の間、率平均が4%まで成長しました。

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専門家や業界人によって見方は多少異なるでしょうが、コンサルティング会社の存在意義は、依頼会社に価値をもたらすことに尽きると言えます。その価値とは、依頼会社がなにを求めているかという個々の事例によって異なります。その価値を一般化するならば、下記三つに分類されるという見方もあります。  

  • 当該会社(依頼会社)の先入観や偏見にとらわれずに、当事者とは異なる観点や発想、知見によって解決策を見つけ出す
  • 当該会社の利害関係やしがらみによって当事者にはできない解決策を実行する
  • 当該会社の要望や目標、ねらいにとってもっとも効果的な解とその実行策を提言する

業界分野
コンサルティング業務の分野は多種多様で、以下に記載した主なもの以外にも多岐にわたります。依頼会社も製造業や通信サービス、医療サービス、公共事業(行政サービス)、建設、不動産と様々です。

戦略
会社が増収増益や事業成長、新規事業開発を実現するための戦略を練って実行したい場合の分野。主な事例では、販促戦略や広告戦略、広報戦略、事業多様化戦略などがある。

経営
戦略コンサルティングと重複する部分が大きいが、全般的には、業績改善や問題解決、事業方針計画といった会社経営に焦点を絞った解の提示が中心。また、特定の事業に関する日々の業務の効率化策を突き止めて、それをいかに実行可能にするかといった事業運営の最適化策の提示も行う。

組織&人材資源
有能な幹部の発見と確保を助け。若手従業員らの職能開発や技能訓練の制度を設計する。社員の士気を高めて優秀な人材を維持できるようにするための福利厚生や社員向け特典の改善と整備などを行う。まとまった規模の人員整理を断行するための解雇策の提言と代行も行う。  

財務
財務改善策の特定と提示をはじめ、コスト削減策や支出最適化に関する助言も含む。財務諸表を分析することで、どのようなコスト削減が可能で、支出をいかに最適化できるかを特定して提言するサービス。

技術
業務効率化や業績改善、コスト削減、販促のための技術活用の方法やシステムの設計と実行を助ける。コンピュータやデジタル技術が浸透し、さらに、インターネット技術の普及によって生まれた分野。

合併&買収(M&A)、私企業投資
会社が標的とする買収先や投資先に関するあらゆることを調べて分析し、その内容にもとづいて意思決定材料と助言を提供。投資業界用語にもなっているデュー・デリジェンス(due diligence)* と呼ばれる調査と分析というサービスも含む。
* デュー・デリジェンス(due diligence):任意の意思決定や行為が法的責任を負うことになるかどうかを事前調査によって見極めることで、主に投資やM&Aにともなう投資先調査やリスク分析、価値算定を指す。 

リスク管理&法令順守
業界や業態、製品種、業務手法に応じてリスク管理や法規制順守を実行する為の専門知識と助言を提供。会社経営や事業運営に影響する法律や規制は無数にあり、また毎年のように改定されるため、会社の法務部だけでは対応しきれないことも多く、外部の専門家集団として必要とされている。

その他
業界(医療、ホテル経営、不動産、政治等)または分野ごとに、それぞれの目的に応じたコンサルティング業務と業界特化型コンサルティング会社が存在する。また、総合系コンサルティングや頭脳集団系コンサルティング、経済コンサルティング、安全保障コンサルティングといった分類もある。総合系の場合、立案段階から業務改善策の提示、体制設計、システム導入、外注策まで会社全体または事業全体の課題の解消に関わる。頭脳集団系では、経済調査や一般的調査、情報技術、経営という4分野に特化したコンサルティング会社が多く、また、政府機関を顧客としたり、国際的事業に携わることもある。
キャリアパス
コンサルティング会社は通常、有限責任合同会社(Limited Liability Partnership=LLP)という形態をとっており、多くのパートナーたちによる共同所有で経営されます。したがって、パートナーが最高到達ポジションです。 ポジションは下記のように昇進するのが一般的です。  

パートナー
コンサルティング業務は一般に、顧客会社から依頼されるよりは、コンサルタントが自ら売り込むことのほうが多い。顧客会社や取引関係をにぎっているのはパートナー。 10年あまり後、パートナーを目指すというのが、同業界での典型的なキャリア構築の道と言える。

シニア・マネージャー
ディレクターかパートナーから 指示されたプロジェクトを指揮(管理)するとともに、依頼会社との折衝や予算管理、時間管理を含め受注内容の任務遂行と成果に責任を持つ。パートナーが機会やきっかけをマネージャーまたはシニア・マネージャーに与え、マネージャーまたはシニア・マネージャーが案を売り込んで契約を取ってくる。

マネージャー
プロジェクトリーダーとして優秀なメンバーを集める責任。また組織側の立場として教育制度から、インフラ、顧客開拓も行う。

シニア・アソシエイト・コンサルタント
マネージャーかシニア・マネージャーの指示によってプロジェクトに必要となる作業を行う。業務知識を高め、プロジェクトのメンバーを指導する機会も増える。

アソシエイト・コンサルタント
シニア・アソシエイト・コンサルタントの補佐役。コーチ(アソシエイトたちを評価するプロジェクト・マネージャー)から指導を受け、毎年の5段階評価にもとづいて昇進を重ねていく。通常はこのポジションに2~3年。 コンサルタントとして必要となる業務の知識や基礎を身に付ける為にもより多くのプロジェクトに関与。

上記以外のポジションについて
コンサルティング・サービスを提供するために必要となる調査を専門に担当するリサーチャーがいます。同時に、調査結果やそのほかのあらゆる材料を加味して分析するアナリストもいます。リサーチャーとアナリストを兼務する場合もあり、また、リサーチャー兼アナリストがコンサルタントに転身することもあります。
資格・資質
新卒者(職務経験がない)としてコンサルティング会社に就職するには「コンサルティング」専攻は存在しませんが、経営学部や経済学部、商学部、数学、統計学、技術系科学の学士号の取得者が多い傾向があります。資質としては以下を必要とされることが多いです。
歴史
コンサルティング事業は、1890年代に大学教授らによって始められたと言われます。米国人の技術者が工場運営に科学的要素を応用して工場を立て直したことがその始まりと言われていますが、その少し後に、マサチューセッツ工科大学のアーサー・D・リトル博士を含む複数の大学教授たちが経営コンサルティングを事業化したことで同業界が認知されたと考えられています。その後、MBA(経営学修士号)のエドウィン・ブーズがブーズ・アレン・ハミルトン(のちのブーズ&カンパニー)という経営コンサルティング会社を立ち上げ、同業界の拡大を加速させました。

初期の経営コンサルティングは、産業革命の時期と重なったことから、当時の技術を応用した業務効率化や業務手法の改善に照準されましたが、1926年にマッキンゼーがシカゴで立ち上げられたことで、会社経営や事業運営に特化した純粋な経営コンサルティング会社の時代が始まりました。また、当時には、勤務経験と専門知識のある人材がコンサルタントとして活躍するのが一般的でしたが、マッキンゼーが大学院の新卒MBAを初めて採用したことで、コンサルティング会社によるMBA採用が本格化しました。    

1960年代と1970年代には、分析や戦略といった要素が経営コンサルティングに加味されるようになり、ボストン・コンサルティングやベインをはじめ、のちの業界大手となる会社が相次いで創設されました。ただ、同業界が真に開花したとみなされているのは1990年代です。多国籍企業の激増や電算技術の浸透、新興市場国の台頭、公的事業の民営化、事業の越境化といった要因によって市場競争や事業拡張、業務改善に迫られた一般事業会社らが専門知識や助言を専門家集団に求めるようになりました。その結果、コンサルティング業界は特定の専門性をさらに要求されるようになり、戦略や経営、人材資源、財務、技術といった分野に明確に分かれ始めました。

知ってる?
コンサルタントという職業は、製造業などの物をつくって売る仕事ではなく、自身の頭と身体だけを資本とする役務サービスです。したがって、顧客にサービス料金を請求できる仕事ができる人材がいるほど売り上げが伸びます。そのため、会社側としては、契約を取れる人材、プロジェクトを遂行できる人材であれば、またはそのポテンシャルがあれば、新卒であっても中途であっても採用したいと思っています。