OUR VISION

TSGホッフェンハイム(Hoffenheim):
一つのチーム、一つのソフトウェアプラットフォーム
ドイツのサッカーチーム、TSGホッフェンハイムはSAPの技術を導入したことで、大きな変貌を遂げています。選手は、試合で常に最高のパフォーマンスを発揮できるようになり、チームは各種キャンペーンなどを通じてファンサービスを充実させ、今ではヨーロッパで最も人気のあるチームの一つになりました。
SAPの技術でチームがデジタルトランスフォーメーション
「一つのチーム、一つの道、ただ一つだけ」のスローガンを掲げるTSGホッフェンハイムは、何十年もの間アマチュアチームとして活動してきました。しかし2000年代の初頭、元選手でありSAPの共同創業者であるDietmar Hoppのサポートを受け、急速に躍進しました。今日のTSGホッフェンハイムは、ヨーロッパで最も人気のあるチームの一つになりました。その成功を支えてきたのが、革新的な指導とフィールドでの高いパフォーマンス、そしてSAPのソリューションです。それがチームにデジタルトランスフォーメーションをも たらしました。
TSGホッフェンハイムが導入したのは「SAP Sports One」と呼ばれるソリューションです。このソリューションを活用し、運動能力に優れた才能を持つ選手の発掘、獲得、育成を進めています。トレーニング中でも、試合中でも、選手のユニフォームに埋め込まれたセンサーが、ボールとの接触、プレイ時間、心拍数等のフィールド上でのデータを収集し、その情報をリアルタイムでコーチに伝えます。これによりチームは迅速に選手を評価し、勝利の戦略へと導く洞察力を見出すことができます。
コーチと理学療法士は、選手の身体的コンディション、トレーニング状況および試合でのパフォーマンスに関する詳細なデータの参照が可能になったことで、選手が試合に向けて最高の準備をし、パフォーマンスを発揮できるよう最適化されたトレーニングや健康プランを提案できるようになりました。
チケット販売、ファンサービスなどマーケティングにも活用
TSGホッフェンハイムのITの活用はフィールド上に留まりません。ファンとの距離を縮め、ビジネスをより効果的に運営するためマーケティング活動でもフル活用されています。
「SAP Event Ticketing」ソフトウェアを活用したチケットの販売管理により、チケット販売店、電子取引サイト、第二次マーケティングルート、さらにはスタジアムでも直接、チームがチケットを販売することが可能になりました。また、マーケティング・キャンペーンの実施、ファンに向けた特典の告知、シーズンチケットの管理もできます。キャンペーンのモニタリングと管理が統合したことで、チームは販売傾向を分析し、データに基づいて実施するキャンペーンを調整することもできます。
グッズ販売店では、「SAP Customer Checkout」アプリケーションが商品販売を管理、特典やお得意様プログラムの統合により、売上レポートの作成を容易にします。販売員は顧客のプロフィール情報をレジで直接登録し、管理できます。営業マネージャーは、どの販売店でどの商品が売れているか、どのレジが高い売上を記録しているか、どの商品が一番人気なのかという事柄をリアルタイムで知ることができます。
TSGホッフェンハイムのCEOであるPeter Goerlich博士は、次のように述べています。
「私達には色々なアイデアがあります。しかしながら、アイデアを具体化することは決して容易ではありません。SAP社のような高度なテクノロジーを持つ会社があってこそ、私達の望みが実現できるのです」
偽造医薬品をなくして、患者の健康を守る手助けをする
「ライフサイエンスのためのSAP情報コラボレーションハブ」
今、世界中で偽造医薬品が大きな問題となっています。SAPは、この問題に対処するため公共クラウドネットワーク「ライフサイエンスのためのSAP情報コラボレーションハブ」を立ち上げました。この情報ハブを活用することで、シリアル番号から医薬品の追跡が確実に行えるようになり、医薬品流通に関わる多くの企業の協業を容易にします。
医薬品のトレーサビリティを実現
医薬品の追跡を可能にする(トレーサビリティ)ため、個々の医薬品にシリアル番号を印字する取り組みが世界中で進んでいます。SAPが偽造医薬品の防止を目指して立ち上げた新しい情報ハブは、Boehringer Ingelheim社、AmerisourceBergen社といった主要な医薬品卸売業者、製造業者と共同開発した医薬品ネットワークを進化させたものです。SAPクラウドプラットフォーム上に構築したデジタルネットワークを活用することにより、医薬品を取引する業者同士が、大量のシリアルデータおよび関連するトレーサビリティデータの交換ができるようになります。しかも、その処理で必要となるコラボレーション機能に関わるコストとリスクを大きく削減することができます。
AmerisourceBergen社シニアディレクターのJeff Denton氏は、次のように述べています。「私達は、『SAP情報コラボレーションハブ』の名称で呼ばれるSAPの新製品開発の一端を担えることを大変うれしく思います。私達は、米国食品医薬品局(U.S. FDA)の最新規定に準拠するため、数々のテストを重ねる過程でこの情報ハブを活用しました。ハブは取引パートナーとビジネス情報を共有する際に安全な環境を提供してくれます。また、使い勝手においても私達のニーズを満足させるものでした」
サプライチェーン全体へと拡張
情報ハブは、まず医薬品のトレーサビリティからスタートし、その後、より広範囲におよぶ医薬品サプライチェーン(製造と流通過程)全体へと拡張していく予定です。具体的には医療関連製品の識別(Identification of Medicinal Products、IDMP)に関するコンプライアンス規定や、医薬品製造のより上流工程におけるデータ交換なども対象になります。
Boehringer Ingelheim社グローバルITオペレーションサービスのMary Mercado氏は、次のように述べています。
「『ライフサイエンスのためのSAP情報コラボレーションハブ』は、当社がまさに今必要としていたソリューションです。情報ハブなら、医薬品サプライチェーンにおけるシリアル化のプロセスにさまざまな事業者を統合する流れが加速し、さらに医薬品のトレーサビリティを大きく改善することになるでしょう」
世界の食料問題を解決する:
ADAMA社によるクラウドHRを使用した農業の簡素化
国連の最新予測によると、現在70億人とされる世界の人口は、2050年までに90億人に増加します。今日、私達が直面する大きな問題の一つは、多くの地域を苦しめる栄養失調や飢餓の問題を解決しながら、20億人分の食料を増産しなければいけないということです。SAPは、"SuccessFactors Employee Central"というツールを通じて、世界の農業生産者に作物ソリューションを提供するアダマ社のヒューマンリソース(HR)システムを支えています。
グローバルHRの管理をSAPのツールがサポート
この食料問題を解決するため、アダマ農業ソリューションズ社(ADAMA Agricultural Solutions Ltd.)は「簡素化」に着目しました。会社自体を管理するヒューマンリソース(HR)ソフトウェアの導入をはじめ、世界の農業生産者に対する作物ソリューションの提供を通じて、この問題に取り組んでいます。
急成長を遂げるこのイスラエル企業は、買収によって従業員数が倍増し、9千人を超えました。会社が保有する50を超えるブランドの様々な事業は、1つのグローバルブランドに統一する計画です。しかし、作物生産においてより優れた計画を立て、確実に農家をサポートしていくこと。そしてアクセス可能で使いやすい作物保護ソリューションの提供を通じて、農業を「簡素化」する、という事業目標の核となる部分に変更はありません。
HRソフトは会社を統一するために重要なツールであり、SAPの“SuccessFactors Employee Central”というソリューションを使用して、45か国にまたがるアダマ社のグローバルなHRプロセスを管理しています。
アダマ社のHRシステムディレクターであるAvivit Klein氏は、次のように述べています。「各地域の当社オフィスは、“SuccessFactors Employee Central”という、より効率的な運営が可能なツールを手にしたことで、アダマの成長目標をサポートすることができます。クラウドソリューションは、私達の仕事をずいぶん楽にしてくれました」
グローバル規模で従業員の配置と管理が実現
HRのグローバル化を通じて、アダマ社全体がトランスフォーメーションを遂げました。従業員記録の95%はすでにシステムに入力されており、アダマ社は総労働力を把握し、正確な従業員情報をリアルタイムで管理できます。これにより人事部をはじめとする全部署で、標準化された組織、仕事、給与、従業員記録等について、グローバル規模で従業員のプランニングと管理が可能になりました。しかも、単一のグローバルプラットフォームのため、(法律など)各国特有の条件を満たしながら、柔軟なローカライゼーションが可能です。プロセスの自動化が可能にするSAPの“SuccessFactors Employee Central”は、成長に伴って将来買収で加わる企業についても、システムへの追加をスムーズに行えるようにサポートします。さらにアダマ社では、必要に応じて給与支払台帳の統合を行う準備も整えています。
何十億人もの人々に食料を提供するという複雑なチャレンジの「簡素化」は不可欠です。
グローバルHRシステムで実現した均一なコーポレートアイデンティティに支えられ、アダマ社の従業員は複雑な農業経営をより「簡素化」して、世界の農家に提供するというプロセスを実現しているのです。
小さなビジネス、大きな可能性
SAPは、中小企業がビジネス市場で独自のチャンスが手にできるよう、パートナーエコシステム(生態系:共存共栄するための仕組み)を構築しています。SAPの中小企業パートナーエコシステムのリーダーであるJulie Slocum Bennani氏は「SAPはパートナーと協力して、中小企業向けにSAPが提供するクラウドベースERP(統合基幹業務システム)の活用を進めています」と述べています。
2つのクラウドベースERPを提供
SAPでは、中小企業市場に向けて2つのERPを用意しています。「SAP BusinessOne」と「SAP Business ByDesign」です。
Julie氏は次のように述べます。
「SAP BusinessOneとSAP Business ByDesignの違いですが、SAP Business ByDesignが中規模企業の市場に特化したクラウドソリューションであるのに対し、SAP BusinessOneは、より小規模な企業のビジネスをサポートします。SAP Business ByDesignは、ユーザー数を20名程度までに制限していますが、中小企業にとってパブリッククラウドのヒーローのような存在と言えるでしょう」
クラウドERPを活用するには、専任のIT担当者が欠かせません。しかし管理者の確保が困難な中小企業にとって、SAP Business ByDesignは、システム規模、セキュリティ、そして常に最新のものを使用できるという点で、格段に使いやすくなっています。
またJulie氏は、SAPの中小企業市場向けERP製品は、競合他社の製品と比較しても、すでに完成し、テストが終了し、統合した機能としてお客様が使用できるようになっていると 語り、次のように続けます。
「SAP製品は、個々のお客様向けに最適化されているだけでなく、お客様の特定ニーズやビジネスモデルに基づいた設定、カスタム化が可能な点が他社製品と比べて優れています。
SAPはパートナーと協力して常に現場に焦点を当て、お客様が求めるビジネス上の成果を実現できるよう取り組んでいます。そのために私達は、現在よりもさらにアクティブで先進的なパートナーエコシステムの構築を進めています」
パートナーエコシステムをさらに発展
Julie氏はさらに続けます。
「私達は中小企業のお客様に必ず、最適なERPを提供する、ということをお約束しています。これはSAP Business ByDesignを通じて可能となります。さらにSAP BusinessOneを加えることで、パートナーエコシステムをより豊かにしていくことを理想としています。
私達はパートナーとともに市場を学ぶ努力を続けています。パートナーには、お客様へのERPシステムの提案時から、必要なソリューションを形作り、導入に至る過程のすべてに参加してもらいます。お客様がその投資によって最大限の利益を得て、ビジネスで成功を収めるだけでなく、さらにその先のニーズも把握するため、ERP開発後もパートナーには深く関わってもらいたいと考えています」
デジタル教育の内側
ダルハウジー大学は、2,900以上ものメンバー数を誇る「SAP University Alliances」プログラムに参加する教育機関の一つです。同大学の学生はプログラムを通じて、最新のSAPテクノロジーを学習し、テクノロジーソリューションの認定資格が取得できます。今や教育のデジタル化は、企業、学校さらには学生自身の学習そのものを大きく変化させています。
従来の教科書はほぼ使用しない
ダルハウジー大学ロウ・スクール・オブ・ビジネス(Dalhousie University, Rowe School of Business)のMichael Bliemel博士は、急速なテクノロジーの進歩により、伝統的な教科書を使った教育は既にほとんど行われていないと言います。
同大学では、SAPが保有する研究室での指導、大規模なオープン・オンライン・コース(MOOCS)、ソフトウェアシミュレーション、オンサイト開発およびデザイン設計を通じて、学生が最新のSAPテクノロジーを学習できるようになっています。学生たちは期末試験の代わりに、openSAPプラットフォーム上でMOOCを受講し、テクノロジーソリューションの認定資格を取得できます。また彼らは、SAPのERPsimによって経営シミュレーションに参加し、その体験学習を通して成功、失敗の双方の事例をリアルに経験します。
Bliemel博士は次のように述べています。
「既存のコンセプトを超えるこの実践的なアプローチによって、学生たちはテクノロジー と深く関わり、インスピレーションが刺激されます。彼らはビッグデータとアナリティクス(分析業務)の知識を深めることで、より良い判断を下し、優れた成績を収められるようになることからこの実践的な新学習プログラムに夢中になるのです」
さらに博士は続けます。
「技術が時代遅れになってしまった高齢の労働者に代わって、実践的な技能を持つ新卒者の需要が増加していくでしょう。実際、私達の授業でSAPのクラウドソリューションを学んだ学生は卒業後、このソフトウェアを実行する仕事に就いています」
SAPの取締役副社長で、スケール・イネーブルメント・アンド・トランスフォーメーション(Scale, Enablement & Transformation)のリーダーであるBernd Welz博士は次のように語ります。
「SAP Learning Hubを含むデジタルプラットフォームは、SAPが従業員、顧客、パートナーを教育する方法を根本的に変貌させました。例えば、SAPのデジタルコースへの参加者数は、従来の教室でのトレーニングに比べて12倍も多いなど、より早くフレキシブルな学習を求める市場全体の傾向を反映しています」
次世代の若者に向けた教育
デジタル時代は、テクノロジーを学習する学生の年齢が若すぎるということはありません。SAPは、ドイツにあるSuso-Gymnasiumという学校の教師と学生に対して、未来の学校に関するデザイン思考のワークショップ、ITコンペに向けたプロジェクトのプランニング技術、プログラミングその他の分野における学習教材を含めたサポートを提供しています 。
デジタル化によって、企業、学校さらには学生自身の学習そのものが大きく変化しています。全ての学生が好成績を修め、その結果として良い就職先に就くチャンスに恵まれることは、教育の未来が非常に明るいことの証明といえるでしょう。
気候変動および貧困と戦う
SAPは3百万ユーロを投資して、Livelihoods Fund(ライブリフッドファンド、生活基金)に加入しました。同ファンドは世界中でCO2削減プロジェクトをサポートし、植樹を通じて気候変動や貧困との戦うという取り組みを推進しています。SAPは、このサスティナビリティ(持続可能性)という分野でリーダーの地位を確立することを目指しています。
エコシステムを回復し、貧困の撲滅に貢献
2008年に仏ダノン(Danone)社が設立した同ファンドは、投資会社として組織された炭素投資基金です。CO2削減プロジェクトを通じてエコシステム(生態系)を回復し、農村の社会的価値を高め、食料保証に貢献することで貧困の撲滅に取り組んできました。
現在まで同基金は、アジア・アフリカ地域で数件の大規模プロジェクトに投資してきました。その事例の一つが、セネガルで実施したマングローブ林1万ヘクタールの回復です。
これは周辺450村で魚の繁殖を助け、作物保護につながる食料エコシステムを再編成する効果を生みました。
別の事例には、インドの小規模農業経営者2万人を対象とした森林農業用地6千ヘクタールの植林があります。ここでは木陰を利用して様々な果物、建築用の樹木、換金作物を栽培しています。貧困と戦う人々の生活を向上させると同時に、上記の2つのプロジェクトからは、今後20年間で150万トンのCO2削減が見込まれています。
このような投資基金はミューチュアルファンドと呼ばれ、リスクを複数の投資者で分担します。同基金がユニークなのは、配当が現金ではなく炭素クレジットで支払われる点です。投資によって新たなサスティナビリティの取り組みが可能になるため、企業は自らの温室効果ガス排出量を自主的に削減し、世界中の貧困な地域社会に資金を提供することができるのです。
サスティナビリティ領域でSAPはリーダーの地位を確立
同ファンドの共同創業者で、基金の顧問を務めるLivelihoods Venture社長のBernard Giraud氏は、「SAPがファンドへの投資を決断したことは、サスティナビリティへの取り組みに対する同社のリーダーシップを確かなものとしました」と高く評価しています。
SAPのチーフ・サスティナビリティ・オフィサーであるPeter Graf氏は、次のように述べています。
「今回の投資は2020年までに温室効果ガスの排出量を50%以上減らして、2000年レベルにまで戻すという私達の約束をより確実にすることでしょう」
SAPのCO2削減戦略は、次の3つを柱としています
  • 収益を損なわずにエネルギー消費を削減する
  • グリーンな電力の購入を増やす
  • 革新的な方法によって排出ガスの一部を相殺する
同ファンドの取締役会でSAP代表を務めるPeter Rasper氏(SAP副社長)は、次のように述べています。
「SAPは目標を達成するために、3つの項目の全てを実行に移しています。Livelihoods Fundとの提携でSAPは、炭素クレジットを取得してCO2排出を相殺できるだけでなく、私達自身も炭素クレジットを作り出すことができるようになります。これにより革新的かつ安価な方法で、温室効果ガスの排出量を削減できます。そして私達は、再びサスティナビリティ領域でリーダーの地位を確立することができるのです」